Today 2023年3月27日 - 2023年3月31日

3月27日

ルカ 17

ルカ 17:1 イエスは弟《で》子《し》たちにこう言《い》われた。「つまずきが起《お》こるのは避《さ》けられない。だが、つまずきを起《お》こさせる者《もの》はわざわいだ。
ルカ 17:2 この小《ちい》さい者《もの》たちのひとりに、つまずきを与《あた》えるようであったら、そんな者《もの》は石《いし》臼《うす》を首《くび》にゆわえつけられて、海《うみ》に投《な》げ込《こ》まれたほうがましです。
ルカ 17:3 気《き》をつけていなさい。もし兄《きょう》弟《だい》が罪《つみ》を犯《おか》したなら、彼《かれ》を戒《いまし》めなさい。そして悔《く》い改《あらた》めれば、赦《ゆる》しなさい。
ルカ 17:4 かりに、あなたに対《たい》して一日《にち》に七度《ど》罪《つみ》を犯《おか》しても、『悔《く》い改《あらた》めます』と言《い》って七度《ど》あなたのところに来《く》るなら、赦《ゆる》してやりなさい。」
ルカ 17:5 使《し》徒《と》たちは主《しゅ》に言《い》った。「私たちの信《しん》仰《こう》を増《ま》してください。」
ルカ 17:6 しかし主《しゅ》は言《い》われた。「もしあなたがたに、からし種《だね》ほどの信《しん》仰《こう》があったなら、この桑《くわ》の木《き》に、『根《ね》こそぎ海《うみ》の中《なか》に植《う》われ』と言《い》えば、言《い》いつけどおりになるのです。
ルカ 17:7 ところで、あなたがたのだれかに、耕《こう》作《さく》か羊《ひつじ》飼《か》いをするしもべがいるとして、そのしもべが野《の》らから帰《かえ》って来《き》たとき、『さあ、さあ、ここに来《き》て、食《しょく》事《じ》をしなさい』としもべに言《い》うでしょうか。
ルカ 17:8 かえって、『私の食《しょく》事《じ》の用《よう》意《い》をし、帯《おび》を締《し》めて私の食《しょく》事《じ》が済《す》むまで給《きゅう》仕《じ》しなさい。あとで、自《じ》分《ぶん》の食《しょく》事《じ》をしなさい』と言《い》わないでしょうか。
ルカ 17:9 しもべが言《い》いつけられたことをしたからといって、そのしもべに感《かん》謝《しゃ》するでしょうか。
ルカ 17:10 あなたがたもそのとおりです。自《じ》分《ぶん》に言《い》いつけられたことをみな、してしまったら、『私たちは役《やく》に立《た》たないしもべです。なすべきことをしただけです』と言《い》いなさい。」
ルカ 17:11 そのころイエスはエルサレムに上《のぼ》られる途《と》中《ちゅう》、サマリヤとガリラヤの境《さかい》を通《とお》られた。
ルカ 17:12 ある村《むら》に入《はい》ると、十人《にん》のツァラアトに冒《おか》された人《ひと》がイエスに出《で》会《あ》った。彼《かれ》らは遠《とお》く離《はな》れた所《ところ》に立《た》って、
ルカ 17:13 声《こえ》を張《は》り上《あ》げて、「イエスさま、先《せん》生《せい》。どうぞあわれんでください」と言《い》った。
ルカ 17:14 イエスはこれを見《み》て言《い》われた。「行《い》きなさい。そして自《じ》分《ぶん》を祭《さい》司《し》に見《み》せなさい。」彼《かれ》らは行《い》く途《と》中《ちゅう》できよめられた。
ルカ 17:15 そのうちのひとりは、自《じ》分《ぶん》のいやされたことがわかると、大《おお》声《ごえ》で神《かみ》をほめたたえながら引《ひ》き返《かえ》して来《き》て、
ルカ 17:16 イエスの足《あし》もとにひれ伏《ふ》して感《かん》謝《しゃ》した。彼《かれ》はサマリヤ人《じん》であった。
ルカ 17:17 そこでイエスは言《い》われた。「十人《にん》きよめられたのではないか。九人《にん》はどこにいるのか。
ルカ 17:18 神《かみ》をあがめるために戻《もど》って来《き》た者《もの》は、この外《がい》国《こく》人《じん》のほかには、だれもいないのか。」
ルカ 17:19 それからその人《ひと》に言《い》われた。「立《た》ち上《あ》がって、行《い》きなさい。あなたの信《しん》仰《こう》が、あなたを直《なお》したのです。」
ルカ 17:20 さて、神《かみ》の国《くに》はいつ来《く》るのか、とパリサイ人《びと》たちに尋《たず》ねられたとき、イエスは答《こた》えて言《い》われた。「神《かみ》の国《くに》は、人《ひと》の目《め》で認《みと》められるようにして来《く》るものではありません。
ルカ 17:21 『そら、ここにある』とか、『あそこにある』とか言《い》えるようなものではありません。いいですか。神《かみ》の国《くに》は、あなたがたのただ中《なか》にあるのです。」
ルカ 17:22 イエスは弟《で》子《し》たちに言《い》われた。「人《ひ》の《と》子《こ》の日《ひ》を一日《にち》でも見《み》たいと願《ねが》っても、見《み》られない時《とき》が来《き》ます。
ルカ 17:23 人《ひと》々《びと》が『こちらだ』とか、『あちらだ』とか言《い》っても行《い》ってはなりません。あとを追《お》いかけてはなりません。
ルカ 17:24 いなずまが、ひらめいて、天《てん》の端《はし》から天《てん》の端《はし》へと輝《かがや》くように、人《ひと》の子《こ》は、人《ひと》の子《こ》の日《ひ》には、ちょうどそのようであるからです。
ルカ 17:25 しかし、人《ひと》の子《こ》はまず、多《おお》くの苦《くる》しみを受《う》け、この時《じ》代《だい》に捨《す》てられなければなりません。
ルカ 17:26 人《ひと》の子《こ》の日《ひ》に起《お》こることは、ちょうど、ノアの日《ひ》に起《お》こったことと同《どう》様《よう》です。
ルカ 17:27 ノアが箱《はこ》舟《ぶね》に入《はい》るその日《ひ》まで、人《ひと》々《びと》は、食《た》べたり、飲《の》んだり、めとったり、とついだりしていたが、洪《こう》水《ずい》が来《き》て、すべての人《ひと》を滅《ほろ》ぼしてしまいました。
ルカ 17:28 また、ロトの時《じ》代《だい》にあったことと同《どう》様《よう》です。人《ひと》々《びと》は食《た》べたり、飲《の》んだり、売《う》ったり、買《か》ったり、植《う》えたり、建《た》てたりしていたが、
ルカ 17:29 ロトがソドムから出《で》て行《い》くと、その日《ひ》に、火《ひ》と硫《い》黄《おう》が天《てん》から降《ふ》って、すべての人《ひと》を滅《ほろ》ぼしてしまいました。
ルカ 17:30 人《ひと》の子《こ》の現《あらわ》れる日《ひ》にも、全《まった》くそのとおりです。
ルカ 17:31 その日《ひ》には、屋《おく》上《じょう》にいる者《もの》は家《いえ》に家《か》財《ざい》があっても、取《と》り出《だ》しに降《お》りてはいけません。同《おな》じように、畑《はたけ》にいる者《もの》も家《いえ》に帰《かえ》ってはいけません。
ルカ 17:32 ロトの妻《つま》を思《おも》い出《だ》しなさい。
ルカ 17:33 自《じ》分《ぶん》のいのちを救《すく》おうと努《つと》める者《もの》はそれを失《うしな》い、それを失《うしな》う者《もの》はいのちを保《たも》ちます。
ルカ 17:34 あなたがたに言《い》うが、その夜《よ》、同《おな》じ寝《しん》台《だい》でふたりの人《ひと》が寝《ね》ていると、ひとりは取《と》られ、他《た》のひとりは残《のこ》されます。
ルカ 17:35 女《おんな》がふたりいっしょに臼《うす》をひいていると、ひとりは取《と》られ、他《た》のひとりは残《のこ》されます。」
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ルカ 17:37 弟《で》子《し》たちは答《こた》えて言《い》った。「主《しゅ》よ。どこでですか。」主《しゅ》は言《い》われた。「死《し》体《たい》のある所《ところ》、そこに、はげたかも集《あつ》まります。」

3月28日

ルカ 18

ルカ 18:1 いつでも祈《いの》るべきであり、失《しつ》望《ぼう》してはならないことを教《おし》えるために、イエスは彼《かれ》らにたとえを話《はな》された。
ルカ 18:2 「ある町《まち》に、神《かみ》を恐《おそ》れず、人《ひと》を人《ひと》とも思《おも》わない裁《さい》判《ばん》官《かん》がいた。
ルカ 18:3 その町《まち》に、ひとりのやもめがいたが、彼《かれ》のところにやって来《き》ては、『私の相《あい》手《て》をさばいて、私を守《まも》ってください』と言《い》っていた。
ルカ 18:4 彼《かれ》は、しばらくは取《と》り合《あ》わないでいたが、後《のち》には心《こころ》ひそかに『私は神《かみ》を恐《おそ》れず人《ひと》を人《ひと》とも思《おも》わないが、
ルカ 18:5 どうも、このやもめは、うるさくてしかたがないから、この女《おんな》のために裁《さい》判《ばん》をしてやることにしよう。でないと、ひっきりなしにやって来《き》てうるさくてしかたがない』と言《い》った。」
ルカ 18:6 主《しゅ》は言《い》われた。「不《ふ》正《せい》な裁《さい》判《ばん》官《かん》の言《い》っていることを聞《き》きなさい。
ルカ 18:7 まして神《かみ》は、夜《よる》昼《ひる》神《かみ》を呼《よ》び求《もと》めている選《せん》民《みん》のためにさばきをつけないで、いつまでもそのことを放《ほう》っておかれることがあるでしょうか。
ルカ 18:8 あなたがたに言《い》いますが、神《かみ》は、すみやかに彼《かれ》らのために正《ただ》しいさばきをしてくださいます。しかし、人《ひと》の子《こ》が来《き》たとき、はたして地《ち》上《じょう》に信《しん》仰《こう》が見《み》られるでしょうか。」
ルカ 18:9 自《じ》分《ぶん》を義《ぎ》人《じん》だと自《じ》任《にん》し、他《た》の人《ひと》々《びと》を見《み》下《くだ》している者《もの》たちに対《たい》しては、イエスはこのようなたとえを話《はな》された。
ルカ 18:10 「ふたりの人《ひと》が、祈《いの》るために宮《みや》に上《のぼ》った。ひとりはパリサイ人《びと》で、もうひとりは取《しゅ》税《ぜい》人《にん》であった。
ルカ 18:11 パリサイ人《びと》は、立《た》って、心《こころ》の中《なか》でこんな祈《いの》りをした。『神《かみ》よ。私はほかの人《ひと》々《びと》のようにゆする者《もの》、不《ふ》正《せい》な者《もの》、姦《かん》淫《いん》する者《もの》ではなく、ことにこの取《しゅ》税《ぜい》人《にん》のようではないことを、感《かん》謝《しゃ》します。
ルカ 18:12 私は週《しゅう》に二度《ど》断《だん》食《じき》し、自《じ》分《ぶん》の受《う》けるものはみな、その十《じゅう》分《ぶん》の一《いち》をささげております。』
ルカ 18:13 ところが、取《しゅ》税《ぜい》人《にん》は遠《とお》く離《はな》れて立《た》ち、目《め》を天《てん》に向《む》けようともせず、自《じ》分《ぶん》の胸《むね》をたたいて言《い》った。『神《かみ》さま。こんな罪《つみ》人《びと》の私をあわれんでください。』
ルカ 18:14 あなたがたに言《い》うが、この人《ひと》が、義《ぎ》と認《みと》められて家《いえ》に帰《かえ》りました。パリサイ人《びと》ではありません。なぜなら、だれでも自《じ》分《ぶん》を高《たか》くする者《もの》は低《ひく》くされ、自《じ》分《ぶん》を低《ひく》くする者《もの》は高《たか》くされるからです。」
ルカ 18:15 イエスにさわっていただこうとして、人《ひと》々《びと》がその幼《おさな》子《ご》たちを、みもとに連《つ》れて来《き》た。ところが、弟《で》子《し》たちがそれを見《み》てしかった。
ルカ 18:16 しかしイエスは、幼《おさな》子《ご》たちを呼《よ》び寄《よ》せて、こう言《い》われた。「子《こ》どもたちをわたしのところに来《こ》させなさい。止《と》めてはいけません。神《かみ》の国《くに》は、このような者《もの》たちのものです。
ルカ 18:17 まことに、あなたがたに告《つ》げます。子《こ》どものように神《かみ》の国《くに》を受《う》け入《い》れる者《もの》でなければ、決《けっ》してそこに、入《はい》ることはできません。」
ルカ 18:18 またある役《やく》人《にん》が、イエスに質《しつ》問《もん》して言《い》った。「《た》尊《っと》い先《せん》生《せい》。私は何《なに》をしたら、永《えい》遠《えん》のいのちを自《じ》分《ぶん》のものとして受《う》けることができるでしょうか。」
ルカ 18:19 イエスは彼《かれ》に言《い》われた。「なぜ、わたしを『尊《たっと》い』と言《い》うのですか。尊《たっと》い方《かた》は、神《かみ》おひとりのほかにはだれもありません。
ルカ 18:20 戒《いまし》めはあなたもよく知《し》っているはずです。『姦《かん》淫《いん》してはならない。殺《ころ》してはならない。盗《ぬす》んではならない。偽《ぎ》証《しょう》を立《た》ててはならない。父《ちち》と母《はは》を敬《うやま》え。』」
ルカ 18:21 すると彼《かれ》は言《い》った。「そのようなことはみな、小《ちい》さい時《とき》から守《まも》っております。」
ルカ 18:22 イエスはこれを聞《き》いて、その人《ひと》に言《い》われた。「あなたには、まだ一つだけ欠《か》けたものがあります。あなたの持《も》ち物《もの》を全《ぜん》部《ぶ》売《う》り払《はら》い、貧《まず》しい人《ひと》々《びと》に分《わ》けてやりなさい。そうすれば、あなたは天《てん》に宝《たから》を積《つ》むことになります。そのうえで、わたしについて来《き》なさい。」
ルカ 18:23 すると彼《かれ》は、これを聞《き》いて、非《ひ》常《じょう》に悲《かな》しんだ。たいへんな金《かね》持《も》ちだったからである。
ルカ 18:24 イエスは彼《かれ》を見《み》てこう言《い》われた。「裕《ゆ》福《うふ》な《く》者《もの》が神《かみ》の国《くに》に入《はい》ることは、何《なん》とむずかしいことでしょう。
ルカ 18:25 金《かね》持《も》ちが神《かみ》の国《くに》に入《はい》るよりは、らくだが針《はり》の穴《あな》を通《とお》るほうがもっとやさしい。」
ルカ 18:26 これを聞《き》いた人《ひと》々《びと》が言《い》った。「それでは、だれが救《すく》われることができるでしょう。」
ルカ 18:27 イエスは言《い》われた。「人《ひと》にはできないことが、神《かみ》にはできるのです。」
ルカ 18:28 すると、ペテロが言《い》った。「ご覧《らん》ください。私たちは自《じ》分《ぶん》の家《いえ》を捨《す》てて従《したが》ってまいりました。」
ルカ 18:29 イエスは彼《かれ》らに言《い》われた。「まことに、あなたがたに告《つ》げます。神《かみ》の国《くに》のために、家《いえ》、妻《つま》、兄《きょう》弟《だい》、両《りょう》親《しん》、子《こ》どもを捨《す》てた者《もの》で、だれひとりとして、
ルカ 18:30 この世《よ》にあってその幾《いく》倍《ばい》かを受《う》けない者《もの》はなく、後《のち》の世《よ》で永《えい》遠《えん》のいのちを受《う》けない者《もの》はありません。」
ルカ 18:31 さてイエスは、十二弟《で》子《し》をそばに呼《よ》んで、彼《かれ》らに話《はな》された。「さあ、これから、わたしたちはエルサレムに向《む》かって行《い》きます。人《ひと》の子《こ》について預《よ》言《げん》者《しゃ》たちが書《か》いているすべてのことが実《じつ》現《げん》されるのです。
ルカ 18:32 人《ひと》の子《こ》は異《い》邦《ほう》人《じん》に引《ひ》き渡《わた》され、そして彼《かれ》らにあざけられ、はずかしめられ、つばきをかけられます。
ルカ 18:33 彼《かれ》らは人《ひと》の子《こ》をむちで打《う》ってから殺《ころ》します。しかし、人《ひと》の子《こ》は三《みっ》日《か》目《め》によみがえります。」
ルカ 18:34 しかし弟《で》子《し》たちには、これらのことが何《なに》一つわからなかった。彼《かれ》らには、このことばは隠《かく》されていて、話《はな》された事《こと》が理《り》解《かい》できなかった。
ルカ 18:35 イエスがエリコに近《ちか》づかれたころ、ある盲《もう》人《じん》が、道《みち》ばたにすわり、物《もの》ごいをしていた。
ルカ 18:36 群《ぐん》衆《しゅう》が通《とお》って行《い》くのを耳《みみ》にして、これはいったい何《なに》事《ごと》ですか、と尋《たず》ねた。
ルカ 18:37 ナザレのイエスがお通《とお》りになるのだ、と知《し》らせると、
ルカ 18:38 彼《かれ》は大《おお》声《ごえ》で、「ダビデの子《こ》のイエスさま。私をあわれんでください」と言《い》った。
ルカ 18:39 彼《かれ》を黙《だま》らせようとして、先《せん》頭《とう》にいた人《ひと》々《びと》がたしなめたが、盲《もう》人《じん》は、ますます「ダビデの子《こ》よ。私をあわれんでください」と叫《さけ》び立《た》てた。
ルカ 18:40 イエスは立《た》ち止《ど》まって、彼《かれ》をそばに連《つ》れて来《く》るように言《い》いつけられた。
ルカ 18:41 彼《かれ》が近《ちか》寄《よ》って来《き》たので、「わたしに何《なに》をしてほしいのか」と尋《たず》ねられると、彼《かれ》は、「主《しゅ》よ。目《め》が見《み》えるようになることです」と言《い》った。
ルカ 18:42 イエスが彼《かれ》に、「見《み》えるようになれ。あなたの信《しん》仰《こう》があなたを直《なお》したのです」と言《い》われると、
ルカ 18:43 彼《かれ》はたちどころに目《め》が見《み》えるようになり、神《かみ》をあがめながらイエスについて行《い》った。これを見《み》て民《たみ》はみな神《かみ》を賛《さん》美《び》した。

3月29日

ルカ 19

ルカ 19:1 それからイエスは、エリコに入《はい》って、町《まち》をお通《とお》りになった。
ルカ 19:2 ここには、ザアカイという人《ひと》がいたが、彼《かれ》は取《しゅ》税《ぜい》人《にん》のかしらで、金《かね》持《も》ちであった。
ルカ 19:3 彼《かれ》は、イエスがどんな方《かた》か見《み》ようとしたが、背《せ》が低《ひく》かったので、群《ぐん》衆《しゅう》のために見《み》ることができなかった。
ルカ 19:4 それで、イエスを見《み》るために、前《ぜん》方《ぽう》に走《はし》り出《で》て、いちじく桑《ぐわ》の木《き》に登《のぼ》った。ちょうどイエスがそこを通《とお》り過《す》ぎようとしておられたからである。
ルカ 19:5 イエスは、ちょうどそこに来《こ》られて、上《うえ》を見《み》上《あ》げて彼《かれ》に言《い》われた。「ザアカイ。急《いそ》いで降《お》りて来《き》なさい。きょうは、あなたの家《いえ》に泊《と》まることにしてあるから。」
ルカ 19:6 ザアカイは、急《いそ》いで降《お》りて来《き》て、そして大《おお》喜《よろこ》びでイエスを迎《むか》えた。
ルカ 19:7 これを見《み》て、みなは、「あの方《かた》は罪《つみ》人《びと》のところに行《い》って客《きゃく》となられた」と言《い》ってつぶやいた。
ルカ 19:8 ところがザアカイは立《た》って、主《しゅ》に言《い》った。「主《しゅ》よ。ご覧《らん》ください。私の財《ざい》産《さん》の半《はん》分《ぶん》を貧《まず》しい人《ひと》たちに施《ほどこ》します。また、だれからでも、私がだまし取《と》った物《もの》は、四倍《ばい》にして返《かえ》します。」
ルカ 19:9 イエスは、彼《かれ》に言《い》われた。「きょう、救《すく》いがこの家《いえ》に来《き》ました。この人《ひと》もアブラハムの子《こ》なのですから。
ルカ 19:10 人《ひと》の子《こ》は、失《うしな》われた人《ひと》を捜《さが》して救《すく》うために来《き》たのです。」
ルカ 19:11 人《ひと》々《びと》がこれらのことに耳《みみ》を傾《かたむ》けているとき、イエスは、続《つづ》けて一つのたとえを話《はな》された。それは、イエスがエルサレムに近《ちか》づいておられ、そのため人《ひと》々《びと》は神《かみ》の国《くに》がすぐにでも現《あらわ》れるように思《おも》っていたからである。
ルカ 19:12 それで、イエスはこう言《い》われた。「ある身《み》分《ぶん》の高《たか》い人《ひと》が、遠《とお》い国《くに》に行《い》った。王《おう》位《い》を受《う》けて帰《かえ》るためであった。
ルカ 19:13 彼《かれ》は自《じ》分《ぶん》の十人《にん》のしもべを呼《よ》んで、十ミナを与《あた》え、彼《かれ》らに言《い》った。『私が帰《かえ》るまで、これで商《しょう》売《ばい》しなさい。』
ルカ 19:14 しかし、その国《こく》民《みん》たちは、彼《かれ》を憎《にく》んでいたので、あとから使《つか》いをやり、『この人《ひと》に、私たちの王《おう》にはなってもらいたくありません』と言《い》った。
ルカ 19:15 さて、彼《かれ》が王《おう》位《い》を受《う》けて帰《かえ》って来《き》たとき、金《かね》を与《あた》えておいたしもべたちがどんな商《しょう》売《ばい》をしたかを知《し》ろうと思《おも》い、彼《かれ》らを呼《よ》び出《だ》すように言《い》いつけた。
ルカ 19:16 さて、最《さい》初《しょ》の者《もの》が現《あらわ》れて言《い》った。『ご主《しゅ》人《じん》さま。あなたの一ミナで、十ミナをもうけました。』
ルカ 19:17 主《しゅ》人《じん》は彼《かれ》に言《い》った。『よくやった。良《よ》いしもべだ。あなたはほんの小《ちい》さな事《こと》にも忠《ちゅう》実《じつ》だったから、十の町《まち》を支《し》配《はい》する者《もの》になりなさい。』
ルカ 19:18 二番《ばん》目《め》の者《もの》が来《き》て言《い》った。『ご主《しゅ》人《じん》さま。あなたの一ミナで、五ミナをもうけました。』
ルカ 19:19 主《しゅ》人《じん》はこの者《もの》にも言《い》った。『あなたも五つの町《まち》を治《おさ》めなさい。』
ルカ 19:20 もうひとりが来《き》て言《い》った。『ご主《しゅ》人《じん》さま。さあ、ここにあなたの一ミナがございます。私はふろしきに包《つつ》んでしまっておきました。
ルカ 19:21 あなたは計《けい》算《さん》の細《こま》かい、きびしい方《かた》ですから、恐《おそ》ろしゅうございました。あなたはお預《あず》けにならなかったものをも取《と》り立《た》て、お蒔《ま》きにならなかったものをも刈《か》り取《と》る方《かた》ですから。』
ルカ 19:22 主《しゅ》人《じん》はそのしもべに言《い》った。『悪《わる》いしもべだ。私はあなたのことばによって、あなたをさばこう。あなたは、私が預《あず》けなかったものを取《と》り立《た》て、蒔《ま》かなかったものを刈《か》り取《と》るきびしい人《にん》間《げん》だと知《し》っていた、というのか。
ルカ 19:23 だったら、なぜ私の金《かね》を銀《ぎん》行《こう》に預《あず》けておかなかったのか。そうすれば私は帰《かえ》って来《き》たときに、それを利《り》息《そく》といっしょに受《う》け取《と》れたはずだ。』
ルカ 19:24 そして、そばに立《た》っていた者《もの》たちに言《い》った。『その一ミナを彼《かれ》から取《と》り上《あ》げて、十ミナ持《も》っている人《ひと》にやりなさい。』
ルカ 19:25 すると彼《かれ》らは、『ご主《しゅ》人《じん》さま。その人《ひと》は十ミナも持《も》っています』と言《い》った。
ルカ 19:26 彼《かれ》は言《い》った。『あなたがたに言《い》うが、だれでも持《も》っている者《もの》は、さらに与《あた》えられ、持《も》たない者《もの》からは、持《も》っている物《もの》までも取《と》り上《あ》げられるのです。
ルカ 19:27 ただ、私が王《おう》になるのを望《のぞ》まなかったこの敵《てき》どもは、みなここに連《つ》れて来《き》て、私の目《め》の前《まえ》で殺《ころ》してしまえ。』」
ルカ 19:28 これらのことを話《はな》して後《のち》、イエスは、さらに進《すす》んで、エルサレムへと上《のぼ》って行《い》かれた。
ルカ 19:29 オリーブという山《やま》のふもとのベテパゲとベタニヤに近《ちか》づかれたとき、イエスはふたりの弟《で》子《し》を使《つか》いに出《だ》して、
ルカ 19:30 言《い》われた。「向《む》こうの村《むら》に行《い》きなさい。そこに入《はい》ると、まだだれも乗《の》ったことのない、ろばの子《こ》がつないであるのに気《き》がつくでしょう。それをほどいて連《つ》れて来《き》なさい。
ルカ 19:31 もし、『なぜ、ほどくのか』と尋《たず》ねる人《ひと》があったら、こう言《い》いなさい。『主《しゅ》がお入《いり》用《よう》なのです。』」
ルカ 19:32 使《つか》いに出《だ》されたふたりが行《い》って見《み》ると、イエスが話《はな》されたとおりであった。
ルカ 19:33 彼《かれ》らがろばの子《こ》をほどいていると、その持《も》ち主《ぬし》が、「なぜ、このろばの子《こ》をほどくのか」と彼《かれ》らに言《い》った。
ルカ 19:34 弟《で》子《し》たちは、「主《しゅ》がお入《いり》用《よう》なのです」と言《い》った。
ルカ 19:35 そしてふたりは、それをイエスのもとに連《つ》れて来《き》た。そして、そのろばの子《こ》の上《うえ》に自《じ》分《ぶん》たちの上《うわ》着《ぎ》を敷《し》いて、イエスをお乗《の》せした。
ルカ 19:36 イエスが進《すす》んで行《い》かれると、人《ひと》々《びと》は道《みち》に自《じ》分《ぶん》たちの上《うわ》着《ぎ》を敷《し》いた。
ルカ 19:37 イエスがすでにオリーブ山《やま》のふもとに近《ちか》づかれたとき、弟《で》子《し》たちの群《む》れはみな、自《じ》分《ぶん》たちの見《み》たすべての力《ちから》あるわざのことで、喜《よろこ》んで大《おお》声《ごえ》に神《かみ》を賛《さん》美《び》し始《はじ》め、
ルカ 19:38 こう言《い》った。「祝《しゅく》福《ふく》あれ。主《しゅ》の御《み》名《な》によって来《こ》られる王《おう》に。天《てん》には平《へい》和《わ》。栄《えい》光《こう》は、いと高《たか》き所《ところ》に。」
ルカ 19:39 するとパリサイ人《びと》のうちのある者《もの》たちが、群《ぐん》衆《しゅう》の中《なか》から、イエスに向《む》かって、「先《せん》生《せい》。お弟《で》子《し》たちをしかってください」と言《い》った。
ルカ 19:40 イエスは答《こた》えて言《い》われた。「わたしは、あなたがたに言《い》います。もしこの人《ひと》たちが黙《だま》れば、石《いし》が叫《さけ》びます。」
ルカ 19:41 エルサレムに近《ちか》くなったころ、都《みやこ》を見《み》られたイエスは、その都《みやこ》のために泣《な》いて、
ルカ 19:42 言《い》われた。「おまえも、もし、この日《ひ》のうちに、平《へい》和《わ》のことを知《し》っていたのなら。しかし今《いま》は、そのことがおまえの目《め》から隠《かく》されている。
ルカ 19:43 やがておまえの敵《てき》が、おまえに対《たい》して塁《るい》を築《きず》き、回《まわ》りを取《と》り巻《ま》き、四《し》方《ほう》から攻《せ》め寄《よ》せ、
ルカ 19:44 そしておまえとその中《なか》の子《こ》どもたちを地《ち》にたたきつけ、おまえの中《なか》で、一つの石《いし》もほかの石《いし》の上《うえ》に積《つ》まれたままでは残《のこ》されない日《ひ》が、やって来《く》る。それはおまえが、神《かみ》の訪《おとず》れの時《とき》を知《し》らなかったからだ。」
ルカ 19:45 宮《みや》に入《はい》られたイエスは、商《しょう》売《ばい》人《にん》たちを追《お》い出《だ》し始《はじ》め、
ルカ 19:46 こう言《い》われた。「『わたしの家《いえ》は、祈《いの》りの家《いえ》でなければならない』と書《か》いてある。それなのに、あなたがたはそれを強《ごう》盗《とう》の巣《す》にした。」
ルカ 19:47 イエスは毎《まい》日《にち》、宮《みや》で教《おし》えておられた。祭《さい》司《し》長《ちょう》、律《りっ》法《ぽう》学《がく》者《しゃ》、民《たみ》のおもだった者《もの》たちは、イエスを殺《ころ》そうとねらっていたが、
ルカ 19:48 どうしてよいかわからなかった。民《みん》衆《しゅう》がみな、熱《ねっ》心《しん》にイエスの話《はなし》に耳《みみ》を傾《かたむ》けていたからである。

3月30日

ルカ 20

ルカ 20:1 イエスは宮《みや》で民《みん》衆《しゅう》を教《おし》え、福《ふく》音《いん》を宣《の》べ伝《つた》えておられたが、ある日《ひ》、祭《さい》司《し》長《ちょう》、律《りっ》法《ぽう》学《がく》者《しゃ》たちが、長《ちょう》老《ろう》たちといっしょにイエスに立《た》ち向《む》かって、
ルカ 20:2 イエスに言《い》った。「何《なん》の権《けん》威《い》によって、これらのことをしておられるのですか。あなたにその権《けん》威《い》を授《さず》けたのはだれですか。それを言《い》ってください。」
ルカ 20:3 そこで答《こた》えて言《い》われた。「わたしも一《ひと》言《こと》尋《たず》ねますから、それに答《こた》えなさい。
ルカ 20:4 ヨハネのバプテスマは、天《てん》から来《き》たのですか、人《ひと》から出《で》たのですか。」
ルカ 20:5 すると彼《かれ》らは、こう言《い》って、互《たが》いに論《ろん》じ合《あ》った。「もし、天《てん》から、と言《い》えば、それならなぜ、彼《かれ》を信《しん》じなかったか、と言《い》うだろう。
ルカ 20:6 しかし、もし、人《ひと》から、と言《い》えば、民《みん》衆《しゅう》がみなで私たちを石《いし》で打《う》ち殺《ころ》すだろう。ヨハネを預《よ》言《げん》者《しゃ》と信《しん》じているのだから。」
ルカ 20:7 そこで、「どこからか知《し》りません」と答《こた》えた。
ルカ 20:8 するとイエスは、「わたしも、何《なん》の権《けん》威《い》によってこれらのことをするのか、あなたがたに話《はな》すまい」と言《い》われた。
ルカ 20:9 また、イエスは、民《みん》衆《しゅう》にこのようなたとえを話《はな》された。「ある人《ひと》がぶどう園《えん》を造《つく》り、それを農《のう》夫《ふ》たちに貸《か》して、長《なが》い旅《たび》に出《で》た。
ルカ 20:10 そして季《き》節《せつ》になったので、ぶどう園《えん》の収《しゅう》穫《かく》の分《わ》けまえをもらうために、農《のう》夫《ふ》たちのところへひとりのしもべを遣《つか》わした。ところが、農《のう》夫《ふ》たちは、そのしもべを袋《ふくろ》だたきにし、何《なに》も持《も》たせないで送《おく》り帰《かえ》した。
ルカ 20:11 そこで、別《べつ》のしもべを遣《つか》わしたが、彼《かれ》らは、そのしもべも袋《ふくろ》だたきにし、はずかしめたうえで、何《なに》も持《も》たせないで送《おく》り帰《かえ》した。
ルカ 20:12 彼《かれ》はさらに三人《にん》目《め》のしもべをやったが、彼《かれ》らは、このしもべにも傷《きず》を負《お》わせて追《お》い出《だ》した。
ルカ 20:13 ぶどう園《えん》の主《しゅ》人《じん》は言《い》った。『どうしたものか。よし、愛《あい》する息《むす》子《こ》を送《おく》ろう。彼《かれ》らも、この子《こ》はたぶん敬《うやま》ってくれるだろう。』
ルカ 20:14 ところが、農《のう》夫《ふ》たちはその息《むす》子《こ》を見《み》て、議《ぎ》論《ろん》しながら言《い》った。『あれはあと取《と》りだ。あれを殺《ころ》そうではないか。そうすれば、財《ざい》産《さん》はこちらのものだ。』
ルカ 20:15 そして、彼《かれ》をぶどう園《えん》の外《そと》に追《お》い出《だ》して、殺《ころ》してしまった。こうなると、ぶどう園《えん》の主《しゅ》人《じん》は、どうするでしょう。
ルカ 20:16 彼《かれ》は戻《もど》って来《き》て、この農《のう》夫《ふ》どもを打《う》ち滅《ほろ》ぼし、ぶどう園《えん》をほかの人《ひと》たちに与《あた》えてしまいます。」これを聞《き》いた民《みん》衆《しゅう》は、「そんなことがあってはなりません」と言《い》った。
ルカ 20:17 イエスは、彼《かれ》らを見《み》つめて言《い》われた。「では、『家《いえ》を建《た》てる者《もの》たちの見《み》捨《す》てた石《いし》、それが礎《いしずえ》の石《いし》となった。』と書《か》いてあるのは、何《なん》のことでしょう。
ルカ 20:18 この石《いし》の上《うえ》に落《お》ちれば、だれでも粉《こな》々《ごな》に砕《くだ》け、またこの石《いし》が人《ひと》の上《うえ》に落《お》ちれば、その人《ひと》を粉《こな》みじんに飛《と》び散《ち》らしてしまうのです。」
ルカ 20:19 律《りっ》法《ぽう》学《がく》者《しゃ》、祭《さい》司《し》長《ちょう》たちは、イエスが自《じ》分《ぶん》たちをさしてこのたとえを話《はな》されたと気《き》づいたので、この際《さい》イエスに手《て》をかけて捕《と》らえようとしたが、やはり民《みん》衆《しゅう》を恐《おそ》れた。
ルカ 20:20 さて、機《き》会《かい》をねらっていた彼《かれ》らは、義《ぎ》人《じん》を装《よそお》った間《かん》者《じゃ》を送《おく》り、イエスのことばを取《と》り上《あ》げて、総《そう》督《とく》の支《し》配《はい》と権《けん》威《い》にイエスを引《ひ》き渡《わた》そう、と計《はか》った。
ルカ 20:21 その間《かん》者《じゃ》たちは、イエスに質《しつ》問《もん》して言《い》った。「先《せん》生《せい》。私たちは、あなたがお話《はな》しになり、お教《おし》えになることは正《ただ》しく、またあなたは分《わ》け隔《へだ》てなどせず、真《しん》理《り》に基《もと》づいて神《かみ》の道《みち》を教《おし》えておられることを知《し》っています。
ルカ 20:22 ところで、私たちが、カイザルに税《ぜい》金《きん》を納《おさ》めることは、律《りっ》法《ぽう》にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」
ルカ 20:23 イエスはそのたくらみを見《み》抜《ぬ》いて彼《かれ》らに言《い》われた。
ルカ 20:24 「デナリ銀《ぎん》貨《か》をわたしに見《み》せなさい。これはだれの肖《しょう》像《ぞう》ですか。だれの銘《めい》ですか。」彼《かれ》らは、「カイザルのです」と言《い》った。
ルカ 20:25 すると彼《かれ》らに言《い》われた。「では、カイザルのものはカイザルに返《かえ》しなさい。そして神《かみ》のものは神《かみ》に返《かえ》しなさい。」
ルカ 20:26 彼《かれ》らは、民《みん》衆《しゅう》の前《まえ》でイエスのことばじりをつかむことができず、お答《こた》えに驚《きょう》嘆《たん》して黙《だま》ってしまった。
ルカ 20:27 ところが、復《ふっ》活《かつ》があることを否《ひ》定《てい》するサドカイ人《びと》のある者《もの》たちが、イエスのところに来《き》て、質《しつ》問《もん》して、
ルカ 20:28 こう言《い》った。「先《せん》生《せい》。モーセは私たちのためにこう書《か》いています。『もし、ある人《ひと》の兄《あに》が妻《つま》をめとって死《し》に、しかも子《こ》がなかった場《ば》合《あい》は、その弟《おとうと》はその女《おんな》を妻《つま》にして、兄《あに》のための子《こ》をもうけなければならない。』
ルカ 20:29 ところで、七人《にん》の兄《きょう》弟《だい》がいました。長《ちょう》男《なん》は妻《つま》をめとりましたが、子《こ》どもがなくて死《し》にました。
ルカ 20:30 次《じ》男《なん》も、
ルカ 20:31 三男《なん》もその女《おんな》をめとり、七人《にん》とも同《おな》じようにして、子《こ》どもを残《のこ》さずに死《し》にました。
ルカ 20:32 あとで、その女《おんな》も死《し》にました。
ルカ 20:33 すると復《ふっ》活《かつ》の際《さい》、その女《おんな》はだれの妻《つま》になるでしょうか。七人《にん》ともその女《おんな》を妻《つま》としたのですが。」
ルカ 20:34 イエスは彼《かれ》らに言《い》われた。「この世《よ》の子《こ》らは、めとったり、とついだりするが、
ルカ 20:35 次《つぎ》の世《よ》に入《はい》るのにふさわしく、死《し》人《にん》の中《なか》から復《ふっ》活《かつ》するのにふさわしい、と認《みと》められる人《ひと》たちは、めとることも、とつぐこともありません。
ルカ 20:36 彼《かれ》らはもう死《し》ぬことができないからです。彼《かれ》らは御《み》使《つか》いのようであり、また、復《ふっ》活《かつ》の子《こ》として神《かみ》の子《こ》どもだからです。
ルカ 20:37 それに、死《し》人《にん》がよみがえることについては、モーセも柴《しば》の個《か》所《しょ》で、主《しゅ》を、『アブラハムの神《かみ》、イサクの神《かみ》、ヤコブの神《かみ》』と呼《よ》んで、このことを示《しめ》しました。
ルカ 20:38 神《かみ》は死《し》んだ者《もの》の神《かみ》ではありません。生《い》きている者《もの》の神《かみ》です。というのは、神《かみ》に対《たい》しては、みなが生《い》きているからです。」
ルカ 20:39 律《りっ》法《ぽう》学《がく》者《しゃ》のうちのある者《もの》たちが答《こた》えて、「先《せん》生《せい》。りっぱなお答《こた》えです」と言《い》った。
ルカ 20:40 彼《かれ》らはもうそれ以《い》上《じょう》何《なに》も質《しつ》問《もん》する勇《ゆう》気《き》がなかった。
ルカ 20:41 すると、イエスが彼《かれ》らに言《い》われた。「どうして人《ひと》々《びと》は、キリストをダビデの子《こ》と言《い》うのですか。
ルカ 20:42 ダビデ自《じ》身《しん》が詩《し》篇《へん》の中《なか》でこう言《い》っています。『主《しゅ》は私の主《しゅ》に言《い》われた。
ルカ 20:43 「わたしが、あなたの敵《てき》をあなたの足《あし》台《だい》とする時《とき》まで、わたしの右《みぎ》の座《ざ》に着《つ》いていなさい。」』
ルカ 20:44 こういうわけで、ダビデがキリストを主《しゅ》と呼《よ》んでいるのに、どうしてキリストがダビデの子《こ》でしょう。」
ルカ 20:45 また、民《みん》衆《しゅう》がみな耳《みみ》を傾《かたむ》けているときに、イエスは弟《で》子《し》たちにこう言《い》われた。
ルカ 20:46 「律《りっ》法《ぽう》学《がく》者《しゃ》たちには気《き》をつけなさい。彼《かれ》らは、長《なが》い衣《ころも》をまとって歩《ある》き回《まわ》ったり、広《ひろ》場《ば》であいさつされたりすることが好《す》きで、また会《かい》堂《どう》の上《じょう》席《せき》や宴《えん》会《かい》の上《じょう》座《ざ》が好《す》きです。
ルカ 20:47 また、やもめの家《いえ》を食《く》いつぶし、見《み》えを飾《かざ》るために長《なが》い祈《いの》りをします。こういう人《ひと》たちは人《ひと》一倍《ばい》きびしい罰《ばつ》を受《う》けるのです。」

3月31日

ルカ 21

ルカ 21:1 さてイエスが、目《め》を上《あ》げてご覧《らん》になると、金《かね》持《も》ちたちが献《けん》金《きん》箱《ばこ》に献《けん》金《きん》を投《な》げ入《い》れていた。
ルカ 21:2 また、ある貧《まず》しいやもめが、そこにレプタ銅《どう》貨《か》二つを投《な》げ入《い》れているのをご覧《らん》になった。
ルカ 21:3 それでイエスは言《い》われた。「わたしは真《しん》実《じつ》をあなたがたに告《つ》げます。この貧《まず》しいやもめは、どの人《ひと》よりもたくさん投《な》げ入《い》れました。
ルカ 21:4 みなは、あり余《あま》る中《なか》から献《けん》金《きん》を投《な》げ入《い》れたのに、この女《おんな》は、乏《とぼ》しい中《なか》から、持《も》っていた生《せい》活《かつ》費《ひ》の全《ぜん》部《ぶ》を投《な》げ入《い》れたからです。」
ルカ 21:5 宮《みや》がすばらしい石《いし》や奉《ほう》納《のう》物《ぶつ》で飾《かざ》ってあると話《はな》していた人《ひと》々《びと》があった。するとイエスはこう言《い》われた。
ルカ 21:6 「あなたがたの見《み》ているこれらの物《もの》について言《い》えば、石《い》が《し》くずされずに積《つ》まれたまま残《のこ》ることのない日《ひ》がやって来《き》ます。」
ルカ 21:7 彼《かれ》らは、イエスに質《しつ》問《もん》して言《い》った。「先《せん》生《せい》。それでは、これらのことは、いつ起《お》こるのでしょう。これらのことが起《お》こるときは、どんな前《ぜん》兆《ちょう》があるのでしょう。」
ルカ 21:8 イエスは言《い》われた。「惑《まど》わされないように気《き》をつけなさい。わたしの名《な》を名《な》のる者《もの》が大《おお》ぜい現《あらわ》れ、『私がそれだ』とか『時《とき》は近《ちか》づいた』とか言《い》います。そんな人《ひと》々《びと》のあとについて行《い》ってはなりません。
ルカ 21:9 戦《せん》争《そう》や暴《ぼう》動《どう》のことを聞《き》いても、こわがってはいけません。それは、初《はじ》めに必《かなら》ず起《お》こることです。だが、終《お》わりは、すぐには来《き》ません。」
ルカ 21:10 それから、イエスは彼《かれ》らに言《い》われた。「民《みん》族《ぞく》は民《みん》族《ぞく》に、国《くに》は国《くに》に敵《てき》対《たい》して立《た》ち上《あ》がり、
ルカ 21:11 大《だい》地《じ》震《しん》があり、方《ほう》々《ぼう》に疫《えき》病《びょう》やききんが起《お》こり、恐《おそ》ろしいことや天《てん》からのすさまじい前《ぜん》兆《ちょう》が現《あらわ》れます。
ルカ 21:12 しかし、これらのすべてのことの前《まえ》に、人《ひと》々《びと》はあなたがたを捕《と》らえて迫《はく》害《がい》し、会《かい》堂《どう》や牢《ろう》に引《ひ》き渡《わた》し、わたしの名《な》のために、あなたがたを王《おう》たちや総《そう》督《とく》たちの前《まえ》に引《ひ》き出《だ》すでしょう。
ルカ 21:13 それはあなたがたのあかしをする機《き》会《かい》となります。
ルカ 21:14 それで、どう弁《べん》明《めい》するかは、あらかじめ考《かんが》えないことに、心《こころ》を定《さだ》めておきなさい。
ルカ 21:15 どんな反《はん》対《たい》者《しゃ》も、反《はん》論《ろん》もできず、反《はん》証《しょう》もできないようなことばと知《ち》恵《え》を、わたしがあなたがたに与《あた》えます。
ルカ 21:16 しかしあなたがたは、両《りょう》親《しん》、兄《きょう》弟《だい》、親《しん》族《ぞく》、友《ゆう》人《じん》たちにまで裏《うら》切《ぎ》られます。中《なか》には殺《ころ》される者《もの》もあり、
ルカ 21:17 わたしの名《な》のために、みなの者《もの》に憎《にく》まれます。
ルカ 21:18 しかし、あなたがたの髪《かみ》の毛《け》一筋《すじ》も失《うしな》われることはありません。
ルカ 21:19 あなたがたは、忍《にん》耐《たい》によって、自《じ》分《ぶん》のいのちを勝《か》ち取《と》ることができます。
ルカ 21:20 しかし、エルサレムが軍《ぐん》隊《たい》に囲《かこ》まれるのを見《み》たら、そのときには、その滅《めつ》亡《ぼう》が近《ちか》づいたことを悟《さと》りなさい。
ルカ 21:21 そのとき、ユダヤにいる人《ひと》々《びと》は山《やま》へ逃《に》げなさい。都《みやこ》の中《なか》にいる人《ひと》々《びと》は、そこから立《た》ちのきなさい。いなかにいる者《もの》たちは、都《みやこ》に入《はい》ってはいけません。
ルカ 21:22 これは、書《か》かれているすべてのことが成《じょう》就《じゅ》する報《ほう》復《ふく》の日《ひ》だからです。
ルカ 21:23 その日《ひ》、哀《あわ》れなのは身《み》重《おも》の女《おんな》と乳《ち》飲《の》み子《ご》を持《も》つ女《おんな》です。この地《ち》に大《おお》きな苦《く》難《なん》が臨《のぞ》み、この民《たみ》に御《み》怒《いか》りが臨《のぞ》むからです。
ルカ 21:24 人《ひと》々《びと》は、剣《つるぎ》の刃《は》に倒《たお》れ、捕《ほ》虜《りょ》となってあらゆる国《くに》に連《つ》れて行《い》かれ、異《い》邦《ほう》人《じん》の時《とき》の終《お》わるまで、エルサレムは異《い》邦《ほう》人《じん》に踏《ふ》み荒《あ》らされます。
ルカ 21:25 そして、日《ひ》と月《つき》と星《ほし》には、前《ぜん》兆《ちょう》が現《あらわ》れ、地《ち》上《じょう》では、諸《しょ》国《こく》の民《たみ》が、海《うみ》と波《なみ》が荒《あ》れどよめくために不《ふ》安《あん》に陥《おちい》って悩《なや》み、
ルカ 21:26 人《ひと》々《びと》は、その住《す》むすべての所《ところ》を襲《おそ》おうとしていることを予《よ》想《そう》して、恐《おそ》ろしさのあまり気《き》を失《うしな》います。天《てん》の万《ばん》象《しょう》が揺《ゆ》り動《うご》かされるからです。
ルカ 21:27 そのとき、人《ひと》々《びと》は、人《ひと》の子《こ》が力《ちから》と輝《かがや》かしい栄《えい》光《こう》を帯《お》びて雲《くも》に乗《の》って来《く》るのを見《み》るのです。
ルカ 21:28 これらのことが起《お》こり始《はじ》めたなら、からだをまっすぐにし、頭《あたま》を上《うえ》に上《あ》げなさい。贖《あがな》いが近《ちか》づいたのです。」
ルカ 21:29 それからイエスは、人《ひと》々《びと》にたとえを話《はな》された。「いちじくの木《き》や、すべての木《き》を見《み》なさい。
ルカ 21:30 木《き》の芽《め》が出《で》ると、それを見《み》て夏《なつ》の近《ちか》いことがわかります。
ルカ 21:31 そのように、これらのことが起《お》こるのを見《み》たら、神《かみ》の国《くに》は近《ちか》いと知《し》りなさい。
ルカ 21:32 まことに、あなたがたに告《つ》げます。すべてのことが起《お》こってしまうまでは、この時《じ》代《だい》は過《す》ぎ去《さ》りません。
ルカ 21:33 この天《てん》地《ち》は滅《ほろ》びます。しかし、わたしのことばは決《けっ》して滅《ほろ》びることがありません。
ルカ 21:34 あなたがたの心《こころ》が、放《ほう》蕩《とう》や深《ふか》酒《ざけ》やこの世《よ》の煩《わずら》いのために沈《しず》み込《こ》んでいるところに、その日《ひ》がわなのように、突《とつ》然《ぜん》あなたがたに臨《のぞ》むことのないように、よく気《き》をつけていなさい。
ルカ 21:35 その日《ひ》は、全《ぜん》地《ち》の表《おもて》に住《す》むすべての人《ひと》に臨《のぞ》むからです。
ルカ 21:36 しかし、あなたがたは、やがて起《お》ころうとしているこれらすべてのことからのがれ、人《ひと》の子《こ》の前《まえ》に立《た》つことができるように、いつも油《ゆ》断《だん》せずに祈《いの》っていなさい。」
ルカ 21:37 さてイエスは、昼《ひる》は宮《みや》で教《おし》え、夜《よる》はいつも外《そと》に出《で》てオリーブという山《やま》で過《す》ごされた。
ルカ 21:38 民《みん》衆《しゅう》はみな朝《あさ》早《はや》く起《お》きて、教《おし》えを聞《き》こうとして、宮《みや》におられるイエスのもとに集《あつ》まって来《き》た。
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